「モラルハラスメント」…モラハラって、最近は周知が進んだお陰でよく聞く言葉です。
日本の社会はブラックな環境が多すぎて、全体的にモラハラ体質なのかも知れないと思うこともしばしば。
そうした「モラハラ」な人はどういう人間なのか、被害者はどうなってしまうのか、モラハラに遭ったらどうすればいいのかなどを私の目線で記していきます。
私が初めて「モラハラ」について知ったのは、10年弱くらい前のことでした。
その時関わりがあった相手に苦しめられ、その状況があまりにも意味不明で、相手のこちらを否定しなんでも悪者にするような言動が理解できず、Googleで検索したのが始まりでした。
当時辿り着いた(ブログ)サイトがこちらです。
もう、目からウロコが落ちる思いでした。
片っ端から読み漁って、散々自分を苦しめてきた相手がどういう人間なのかということを知りました。
自分が被害者であるという自覚や、悪いのは自分ではなく相手にこそ問題があったのだときちんと認識を正す切欠になり、そこから抜け出すことが出来たのです。
あの時、必要な情報を提示してくれたGoogle先生とこのサイトには、感謝してもしきれません。
思えば、知りたいことが知れて検索者の役に立つというGoogleの理念を理解できたのは、こういう切実な実体験があったからこそなのかも…
サイト自体は随分前に更新が止まっていて、情報が古い場合もあります(度々出てくる「自己愛性人格障害」というのも、今はパーソナリティ障害のひとつとしてカテゴライズされています)が、今でも役に立つ、知らないうちに被害に遭って苦しんでいる人がはっと気づいて、その状態を解消できるヒントが沢山あります。
ある程度被害者本人にも「何かがおかしい」と気付いていなければ疑問も持てないと思うのですが、もし自分が悪者にされたり虐げられたりしていて「この人はどうしてこういうことをしてくるのだろう…」と悩んでいる人には、助けになってくれることでしょう。
モラハラはどこにでもある
モラハラは、人のいるところであればどこでも起こり得る可能性があります。
加害者の気質を持っている人と、その人のターゲットになり易い人の2人がいれば、もう成立してしまう。
学校だったら「暴力を伴わないいじめ」みたいな感じと言えば、分かり易いでしょうか?
夫婦間など一対一の密室状態だとDVなどの暴力を伴う場合もあるので、線引きが難しい部分もあるのですが…
言葉の通り「モラル(倫理や道徳)」に反した、或いはその観念を破壊するような「ハラスメント(嫌がらせ)」は、大体モラハラという感じでいいと思います。
職場ではパワハラなんてのもありますが、モラハラは同僚や友人・夫婦間など本来上下関係のない、対等な立場である筈の人たちの中でも起こります。
モラハラをする人の特徴
モラハラ人間の特徴としては、前述のサイトにまとめられていますが
常に自分が正しいという妄信のもと、今話している話題の筋を捻じ曲げてでも自分が正しい、有利だという方向に持っていこうとします。
話の論点がどんどんずれていき、指摘されたこともまるで自分の思い付き(手柄)にしてしまったり、指摘されて初めて気付いた(思い出した)ことをさも前々から主張していたことにして、それが根拠だなどと言い始める。
また、根拠を出せと言うので相手が出しても、そんなのは根拠にならないとイチャモンを付けたりスルーして、その場での思い付きを自分の根拠だと繰り返し主張し続けたりもします。
私が最近遭遇してしまったモラハラさんもこういう人で、自分が主張することの本質的な行動をするより先に自分がいい人と見られたいという欲が押し出されていて無理案件でした。
人を助けようという崇高でご立派な意志よりも、ご自分のプライドを損なわないことの方が大事なんだなぁ…と。
なんだか某藤田先生を思い出してしまった。
ボランティア的な活動をする人の中には、まあこういう人も容易に紛れ込んで称賛を得易いのでしょうね。
win-winの関係なら別にいいし関知しないので、外に出てこないで欲しいわ…
モラハラの筋の通らない話を、繰り返し聞かされた相手は訝しく思ったり、混乱をきたしてしまいかねません。
「お前も悪い・お前が悪い」というようなことを言われて「自分が間違っていたのかな…?」とつい考えてしまうと、モラハラの思うつぼです。
彼らは自分が間違っている、いい人間、立派な人間ではないと化けの皮が剥がされてしまうのを極端に嫌います。
そして、本人には自覚がなく(頭がいいと自覚している場合もありますが)自分の間違いを指摘する、正体を暴こうとする人は敵なんですね。
話をコロコロ変えて自分の都合のいい流れに持っていく、結果が自分にとってよければその流れがどんなに矛盾していても、傍から見ておかしい状態でも構わないのです。
自分さえ納得がいっていればいいので。
まともに会話を試みようとする人から見れば、話になりません。
しかし、そういった無意識の工作は往々にして他人のいない場所や他人から見られにくい場所で行われ、それを見なかった周囲の人は「いい人の仮面」に気付かなかったり、自信に満ちた語り口に錯覚して騙されてしまうのです。
冒頭の加害者ではないのですが、私の祖父もこういう気質を持っており「どんなにおかしな言い分でも自分が正しいのだと信じて疑わない」という部分に気付いた時には、驚愕ものでした。
屁理屈を屁理屈だと自覚できずに、筋の通らない主張を平気でやってくるのはそうした謎の確信があるからなのだと…
人格障害?
モラハラとセットで扱われることも少なくないのが、その気質にぴったりと当てはまる「自己愛性パーソナリティ障害」というものがあります。
(必ずしもモラハラをする人がそう診断される訳ではありませんが、特徴が極めて似ているのは確かです)
「障害」と付いてはいますが、実は病気などではなく「性格が異様にねじ曲がっているだけ」なので、治す・矯正することが困難なのも特徴のひとつです…
また、このパーソナリティ障害を持つ人の中に「鏡映転移」という思考を持っている人がいて、これは往々にして「鏡を見るように相手に自分の中にあるものを映し見て、それを認められないから攻撃する」という行動で表出します。
子供に自分自身のコンプレックスを映し見て虐待してしまう親のように。
私も、全く悪意なく素朴な疑問を指摘していたのに「悪意が感じられて気持ち悪い」と言われてしまい、ああこの人そうなのか、と気付いてしまって内心修羅場でしたね。
まあ、鏡面転移ではなく都合の悪いことを指摘されまくって、単に気を悪くしていたのかも知れませんが…
この障害に関しては、専門家でも苦労したりお手上げになってしまう程なので
素人が
「この人の悪い癖を治してやろう」
みたいに考えても難しいですし、
「いつか分かってくれる・変わってくれる」
「○○したら(子供が生まれたら、など)変わってくれる」
なんて希望を持っても変わりようがないので、不幸な結果に終わるだけです。
もし友人や同僚、身近な人間にこの気質の人がいても、下手に関わり合いになるのはやめましょう。
人間関係だけでなく、被害者の人格をも壊してしまうモラハラ
モラハラの被害に遭ってしまった人は、健康的な精神状態を保てなくなります。
自己肯定感を損なって、著しく自信がなくなり無気力になってしまったり、うつ状態やPSTDになってしまう可能性もあります。
私も、モラハラ気質の人に関わって責任転嫁されたり詰られると、今でも過呼吸やフラッシュバックを起こしてしまう場合もあります。
夫婦など「その人たちの間でしか分かり得ない物事がある間柄」の場合は特に、その状況から逃れられずサンドバッグになり易いため、事態が深刻化し易くなってしうケースもあるのです。
危険な気質
自己愛性パーソナリティ障害の人の中で頭のいい人(勉強ができるどいうのではなく、地頭がいい人)は、サイコパスになってしまう可能性もあります。
思い遣りがなく他人が傷付き苦しむ
モラハラ人間からの被害を解決するには?
相手がモラハラをする人間だと分かっている場合は、関わらないのが一番です。
ですが、モラハラ人間は外面がよくターゲット以外にはいい人を演じているので、一見そうとは見分けがつかない場合もしばしばです。
一度被害に遭えば、「この人はモラハラ気質かも知れない…」という嗅覚が働くかも知れませんが、そうでない場合は接した時に僅かな違和感がなかったかなどの勘に頼るくらいしかないかも知れません…
ターゲットにされない分には、他人には愛想よくいい人に見られたい、すごいと思われたい人たちなので表面上は明るい付き合いが出来るでしょう。
ですが、コミュニティの中では別の人が被害者になって、それを切欠にそのグループの人間関係が崩壊する危険性はあります。
1人を犠牲にして表面上の平穏を取るか、それをよしとしないかはそういう状況に直面した人次第になりますが、前者の構図はいじめと何ら変わりないですよね。
ターゲットになってしまったら…
万一モラハラ人間と関わって、ターゲットにされそう・されてしまった場合は、とにかく関係を絶ち、逃げることが先決です。
場合によっては、そこで築いた立場や人間関係をも捨てなければならなくなるかも知れませんが、人格を壊されてその後の人生すら狂ってしまうよりは、大分マシではないでしょうか。
夫婦や恋人間で往々にしてあるのが、言葉や態度の暴力で共依存(精神的な奴隷)のようにされてしまい、嫌だと思いながらも逃げられなくなってしまうケースです。
目が覚めて一度は逃げたり離れたりしても、モラハラ人間が表面上謝ってその場凌ぎをしてくるので、騙されて戻ってしまうこともあるのです。
そうなると、周囲も助けようがありません。
辛い状況で精神的にきつくても、ぐっと耐えて心を鬼にする必要があるのかも知れません…
相手が家族という場合も、完全に縁を切れずずるずると関係を引きずってしまったりもしますし…被害者にとっては本当に厳しいなと思います。
自分は大切なものを失って、残されて周囲に被害者面をする相手に何の仕返しも出来なくて悔しい思いをするかも知れません。
ですが理解してくれる人は分かってくれますし、モラハラ人間に惑わされてしまう相手はそれまでの人だったのだと割り切るしかないです。
とにかく、一秒でも早く自らの心身を守ることに専念してください。
(その後の、被害者自身のケアも大変なので)
その時はよくても、モラハラ人間は自省ができないのでいずれ破滅するか、本当に才能や能力がなければ落ちぶれて終わります。
苦しいのは今だけの辛抱だ、そう思うしかないです…
辛さに耐えられない場合は、独りで苦しまず周囲の理解してくれる人か、こころの相談が出来る機関、NPOなどを頼ってみてください。
他人を頼るなんてと躊躇ってしまうかも知れませんが、被害者が遠慮することはないのです。
ターゲットにされにくい性格になるのもいいけれど…
正直、それもしんどいですよ。
大体被害を受ける側の人って、世間一般に善良判定されるような人だったり、心が優しかったり素直で人を信じ易かったりします。
(自分がそこに含まれてると思うと、なんか申し訳ない気がするんですが…そう思っちゃうこと自体がカモなんだろうなぁ、とか)
なので、モラハラ人間に正面切って対抗するような態度を取ろうとするのは気が引けてしまったり、自分の方がその言動に傷付いてしまう可能性もあるし…
逆に、称賛し続けるという対応もあるそうな
父親や母親などの身内にモラハラを受けて育ったお子さんが、割と自棄になって「あなたが正しい、あなたは素晴らしい、何も間違っていない」と肯定や称賛ばかりをするようになったら、モラハラ人間はいい気分になって不機嫌に当たることも減ったそうですが、そのうち人格が崩壊してしまったそうです。
被害者の方は、相手の望むようにしていたのだろうになぜなのか…
モラハラ気質自体が、元々不安定な自我や虚栄心の上に成り立っているのだから、正しい認められ方でなければ称賛も毒になるということなのかも知れませんね。
つくづく不毛だし、他人を虐げるだけ虐げてもこういう気質の人は結局不幸なんだなと…
どうしてこういう人が出てしまうのかというところには、根深いものがあるのかも知れません。
生まれつきなのか、はたまた育った環境によるものなのか。
でも、常態化されてしまったブラックな働き方のように「これは問題だ」「改善していかないと」と多くの人が発して、正していかないと是正しようがないんじゃないかなと思います。
願わくばお互いを尊重し合える環境で、暮らしていけますように。