強い女メーカーの作者が、スクリーンショットを貼って紹介していた複数の個人ブログに50万円を請求したという事件――
もう前提から「なんじゃこりゃ?」でしたが、調べてみると更に「なんじゃこりゃ」感が増していく内容でした。
概ねの内容は、こちらのねとらぼさんの記事で分かります。
分かりますが…うーん、作者さんはほんとなんでこんなことしちゃったの?
という疑問符で頭がいっぱいなので、整理してみます。
強い女メーカーってなんじゃい
強い女メーカーは、最近人気急上昇した印象のPicrewという画像メーカーサイトで作られた、パーツを組み合わせて強そうな女性が作れるというツールです。
Picrewで作られたメーカーは他にも色々とあり、Twitterのタイムラインでもよく流れているのを見たり、実際に興味を持って画像を作りに行ったこともあります。
ですが、強い女メーカーで作られた画像に関しては、私はスルーしていました。
絵柄がどうとかは言いませんが、雰囲気が怖かったので…
こういう、似た感じの絵柄の漫画家さんやイラストレーターさんの絵には全然そういうのを感じなかったんですが、空気感といいますか…分かる方には分かるかも知れません。
勘みたいなものが働いていたのか…まさかスルーしていてよかったと思うような事態になってしまうとは思いもよりませんでしたが。
何が起きたの?
強い女メーカーで作った画像をスクリーンショットし、紹介していた複数の個人ブログが設定されている商用利用・著作権侵害に当たるとして、強い女メーカーの作者さんの代理人から50万円の請求がなされたとのことです。
代理人となっている弁護士事務所の見解では、
個人のサイトであろうと広告を貼っていたら商用利用であるという主張がされています。
ここでポイントとなるのが、請求を受けたブログはどれも個人が運営しているもので、キュレーションサイトや有名なブロガー・ライターなどが取り上げたサイトには何のアクションも取っていない様子であること。
この時点でもう、なんだかおかしいような…
引用なら問題ないんじゃないの?
注目されるべき点としては、紹介記事が引用の要件を満たしていたかどうかということ。
出展を明らかにして引用したものであれば、ブログ主側は問題のない取り上げ方をしていたと言えます。
法律に詳しい弁護士がついていながら、そこが分からない筈はないですし、そもそも著作権を振りかざしてどうこうしようという作者にも、こうした知識があったのかと疑問が残ります。
請求を受けたサイトがどんな形式でスクリーンショットを表示していたのかは不明ですが、「紹介」ということは少なくとも強い女メーカーのURLやリンクを記載していたのではないでしょうか?
そうであれば、よっぽど下手な記載のし方でなければ引用として認められそうなものですが…
引用して紹介するのと、ただの無断転載は訳が違います。
代理人となった弁護士は、その違いが分からない程度の人物だと言うことなのでしょうか?
それとも、引用の要件を満たしていなかったか。
であるとしても、そのことを明記していないのはどうにも不信感が拭えません。
こうして訴える前段階でまず削除要請をされると思うのですが、その痕跡すら見当たらないようで。強引というか横暴というか…あまりいい印象は抱けませんね。
スラップ訴訟なのでは?という声も
作者側のやり方に、スラップ訴訟なのではないかという意見もいくつか見掛けました。
スラップというのはググるとWikipediaの記事が出てくるように、恫喝や威圧的に弱い立場の相手を脅すような訴訟・訴えることを言います。
簡単に言ってしまえば、カツアゲとそう変わらない行為ってことですね。
私はそれを聞いて、確かにそうかも知れないなぁと思ってしまいました。
だって、大手サイトや強い相手には手を出さず、権威を出せばビビるとでも思っているのか個人の弱いサイト運営者のみを標的にしている訳ですから。
強い相手には勝てないって分かってるんですよね。向こうもちゃんとした弁護士や専門家がついている可能性も高い。
やり方が汚いと批判されてしまうのも、仕方がないのかも知れません。
クリエイターも利用者も委縮してしまうかも
こういったことが起きてしまうと、メーカーの作り手であるクリエイターも、Picrewの画像メーカーで遊んでいた利用者も委縮してサービスを使わなくなってしまうのでは、ということも危惧してしまいます。
下手に使って訴えられたり、高額な金銭を要求されたら…と思うと怖いですもんね。
それに、紹介していたサイトがきちんと引用の要件を満たしてメーカーにリンクを貼っていたのだとすれば、そうしたところからの拡散や宣伝を絶つことは、サービスにとっても損なのではないかなと思います。
自分の利益しか考えていない無断転載野郎が「宣伝にもなるんだからいいだろう」みたいに言う勘違い発言とは、また意味合いが違ってきますし。
強い女メーカー作者とPicrewがこの先どうなっていくかはまだ分かりませんが、もう少し賢い方法は採れなかったのだろうか、ちょっと考えてしまいますね。