僧衣で車を運転していたお坊さんが青切符(交通反則告知書)を切られたと報じられて議論を呼び、最終的には書類送検の見送りで幕を閉じたこの一件。
収束してひと月ほど経ちますが、ちょっと振り返ってみようと思います。
この事件の影には、規定をカッチリと定めない、警察官の判断によって違反かどうかが決まってしまうという危うい部分もありますね。
どうしてそのような決まりになっているのかという部分も考えていきたいと思います。
騒動の流れ
僧衣で運転していた僧侶が青切符を切られる
事件の発端は、福井件内で県道を運転していた僧侶が操作に支障があるということで警察官に違反の切符を切られてしまったことに始まります。
当のお坊さんは「納得がいかない」と反則金の支払いを拒否。
お坊さんが所属している宗派の人たちも巻き込んだ問題となりました。
えっ?僧衣で運転しちゃダメなの?と物議を醸す
この報せを受け、ネットでも様々な意見が飛び交うことになりました。
- 和服がNGと規定されている県もある
- 裾が長いのがダメならロングスカートや長いコートもダメなのでは?
- (違反切符の)件数稼ぎじゃないの?
などなど…
法で規定されている部分が曖昧なのもよくないと指摘する声もありました。
「車から降りて着替えればいいだろう」という意見もありましたが、それはあまりにも乱暴です。
僧侶にとって、特に車社会の地方のお坊さんにとっては、僧衣で運転できないとなると死活問題です。
法事などの忙しい時期は、分刻みで檀家さんの家々を回らなければなりません。それなのに、車の乗り降りをする間にいちいち着替えていたら、回りきれないでしょう。
※意見の中には「車を降りて着替えている僧侶もいるが、忙しい時期は運転手付き」だというものもありました。
運転してくれる人を用意できればいいのでしょうが、運転も法要も一人で全てを行わなければならないお坊さんには厳しいですね。
僧衣にも色々な種類がある
上記の暴論を書いた人が想像したのがどんな僧衣かは分かりませんが、僧衣にも色々な種類があります。
お寺で行う法要などでは立派で重たい法衣を着ることもありますが、お坊さんが日常を過ごすものや、外回りで着用するものはもっと動き易く、お坊さん自身も疲れない素材や形で作られているものです。
普段、着物を着ない人には分かりにくい部分があるかも知れませんが、普段着や外出用の着物は歩き回ったり(場合によっては走ったり)出来ない素材や構造のものでは困る訳ですね。
また、着用している人自身も、普段から着慣れているかいないかで動き易いか否かに関わってきます。
普段着物を着ない人がたまに着て「窮屈だ、動き難くて不便だ」と思うのとは、訳が違うのです。
ハッシュタグ「#僧衣でできるもん」が誕生
物議を醸す中「僧衣を着ていてもこれだけ動ける!」という動画を投稿するお坊さんたちが現れました。
彼らの動画は「#僧衣でできるもん」というタグで投稿されるようになり、拡散されるようになります。
これだけできるんだから、運転ぐらい困ることはないよね。#僧衣でできるもん pic.twitter.com/TneoRtCNMD
— へんも(三原貴嗣)@ブロガー&足技で日本一の住職 (@henmority) December 31, 2018
運転に支障があるとの事ですが、お坊さんの衣は足もちゃんと動きますよ。
— とっしゃん@お坊さん大道芸人 (@tossyan753) December 31, 2018
#僧衣でできるもん pic.twitter.com/PVb1jepZQP
スニーカーを履いていれば大体なんでも出来ますよ。
— その他の坊主 (@bayashi567) January 4, 2019
あけましておめでとうございます。#僧衣でできるもん pic.twitter.com/5iWW87OB6q
軽やかに縄跳びをしたり、ジャグリング、アクロバティックな動きまで…
動画は他にも投稿されているので、Twitterで検索してみてください。
(話題のツイートなどだと動画以外も出てきてしまうので、動画の欄でハッシュタグを検索するといいですよ)
「ッシャオラ!やろうってのかオラ!」みたいな物騒な雰囲気のツイートも見掛けたりしましたが、こんな風にお坊さんご自身が動ける姿や特技を見せてくれる流れが出来たのは、とても平和的で気持ちも和む出来事でしたね。
動画を投稿されたお一人、へんもさんはブログでこの件について書かれています。
こちらでは、ハッシュタグの成り立ちについてや各県の規定に対してなど、お坊さんの立場から様々なことが書かれています。
しかし、取り締まった警察官を吊し上げるおつもりはなく、規定が出来たらそれに従うよ、ということも明記されていて、やっぱり平和的で好感が持てるなと思いました。
内容が充実しているので、お時間がある時にご覧ください。
結局、書類送検は見送りに
先月1月26日に、福井県警は「違反の確認はできなかった」として青切符を切った僧侶の書類送検を見送りにしました。
結局なんだったんだ?ということになりますが…
単に問題が上に上がって、そこで精査された結果なのか、世論を汲んでのことなのか…(忖度というやつですね)
結局、今回の件はお咎めなしということで収束しました。
本当になんだったんだ…
なぜ、こんなことが起きたのか
曖昧な部分の判断が、個々の裁量に任されている
この件に関して、「法律の規定が曖昧」だというところを指摘する声もあります。
ですが、これは全てギチギチに決めてしまうと、場合によって酌量できる事柄まで見逃すことが出来なくなってしまう、諸刃の剣なのです。
そうすると、ちょっとしたことで捕まる人が多くなって、警察も社会も大変なことになってしまうので「この辺は状況によりけりで判断しよう」という部分がある訳ですね。
ただ、この曖昧な部分、とかく悪用される件が目立ちます。
警察に拘わらず、判断する立場の人が「俺が黒だと言ってるんだから黒だ!」というのがまかり通ってしまい、物議を醸す…みたいなのは何度か見掛けたような。
こういった曖昧な部分の判断を任される人は、襟を正さなければいけませんね。
また、第三者がその判断を公正だったかどうか、確かめる必要があるでしょう。
ともあれ、警察がこんないい加減なことをやっていると、どんどん軽蔑・軽視されてしまって権威がなくなってしまいます。
警察が役に立たないと言われる組織になってしまうと、日本の治安も今より更に悪くなるでしょう。
しっかりして欲しいものです。
違反切符を切るノルマ?
一般的に言われているのが「交通違反の点数稼ぎというのがあるんじゃないか」という話ですね。
うちも広くて真っ直ぐな道が長く続く国道?が近くにあるので、パトカーが速度違反の車を追うサイレンがしょっちゅう聞こえてきます。
脇の細い道に待機ポイントがあって、パトカーや白バイが獲物違反者を狙って潜んでいるんですね(笑)
地元の人は、大体どこにパトカーが待機しているか分かっているので、無茶な速度は出しません。
大体捕まるのは他県の人や、事情を知らないイケイケなパリピみたいな人なんでしょうね(偏見)
そんな訳で、取り締まりを担当している警察官にはノルマがあるんじゃないかとか、点数を稼いで成績を上げているのでは?という噂が付きまとってしまう訳です。
こういう話もありますが…まあどこまで本当なのか、どうなのか。
ともあれ、警察の人って色んな人から見られています。
権威がある分、それは当然のことなのでしょう。
せめて仕事をしている間は、きちんとして欲しいものですね。