虐待を受けていた子供が亡くなって、父親や近親の人物が逮捕される。
そんな事件が相次いで報道されています。
親や保護するべき人からの、家庭内の虐待は外からは見えにくく、周囲が気づいた時には大変なことになっている場合もあり、大きな問題と言えるでしょう。
また、虐待されたり暴力を振るわれる対象は、何も子供に限ったことではありません。
人生を共に歩んでいく筈の伴侶であったり、また介護が必要になった家族である場合も往々にしてあるのです。
日々伝えられる胸の痛むような事件を見ながら、私たちに何が出来るのかを考えました。
どうして虐待は起こるの?
虐待が起こるのは、親や保護者などの加害者になる側が、子供などの被害者になる側に暴力や食事を与えない、その他様々な理不尽な行為を行ってしまう状況が背景にあります。
いじめと同じなのですが、被害者がこうだから被害を受けるというのではなく、加害者に問題があるから起きてしまうことなんですね。
例えば「自分の子供が好きになれない、世話をするのが嫌だ…」という気持ちがあって虐待に繋がってしまうという具合です。
虐待をする人の方も、問題を抱えている
元々加害的な人格だったり、誰かに害を与えようという人間でもない限り、加害者になる側の人もごく一般的な感覚を持った人です。
ですが、ひとりで子供の面倒を見なければならないとか、ひとりで家族の介護をしなければならないという場合はとても大変で、信じられないくらいのストレスが溜まってしまいます。
場合によっては気が触れてしまうかも知れないような精神状態に陥ったりするのです。
私も家族の介護経験があるので、その状態の辛さは身に染みて感じていました。
結果的に相手を傷付けてしまうことも…
また、こんなケースもTwitterでツイートされていました。
8年前、夜、夫と千鳥足で帰宅したらマンション1階の風呂場の窓から女性の声がした。「警察を呼んで、殺される」私達は知っていた。ここには老夫婦がいて奥様は認知症、ご主人が日々甲斐甲斐しくお世話されてることを。すぐご主人が窓から顔をだして「お騒がせしてすみません」と言った。(続く)
— 黒猫チェリーさんち🏠 (@Kally_Plaza) February 8, 2019
私達は悩んだ。認知症が故の妄想ではないか。あのご主人がそんな事をするはずがない。でも、私達は最終的に警察を呼んだ。間違ってたら私達が謝ればいい。ほどなく警察の方が来て中に入られる時、夫が耳打ちした。「念のために奥様の身体確認を。」(続く)
— 黒猫チェリーさんち🏠 (@Kally_Plaza) February 8, 2019
警察の方が静かに頷いて入って行って、私達も自室に戻った。しばらくして警察の方がきて「アザだらけでした」と言った。あの時の、ほらね!とも嘘だ!とも言われぬ、なんとも悲しい気持ちは今でも忘れない。(続く)
— 黒猫チェリーさんち🏠 (@Kally_Plaza) February 8, 2019
その後、奥様は施設に入られご主人は引っ越しされた。出ていかれる際にうちに来て「あの時、警察を呼んでくれなかったら私もどうなっていたかわからない、感謝します」と泣かれた。介護にノータッチだったお子さんも現実を受け止めてくれたらしい。(続く)
— 黒猫チェリーさんち🏠 (@Kally_Plaza) February 8, 2019
虐待の話題がつきない昨今、こういう事もあるんだと、ちょっとだけ知ってほしい。ただそれだけ。
— 黒猫チェリーさんち🏠 (@Kally_Plaza) February 8, 2019
認知症の方の介護は、特に大変で、この男性もお辛かったでしょうね。
単に暴力を振るう以外にも、身の回りの世話をする過程でお風呂に入れようとしたりお手洗いの介助で嫌がられたりした場合、時として押さえつけなければ済まなかったり、相手が抵抗して自分も傷つく場合もあるでしょう。
プロの資格を持っている介護士さんでも、力と知識、経験が物を言うお仕事です。
家族だからというだけで、年を取った伴侶の方や力や知識の少ない人がするには、介護は過酷なものだと思うのです。
このご夫婦の場合は、ツイート主さんの通報によってよい方向に向かい、離れて暮らす家族にも理解が得られて本当によかったですが、今もこうして苦しんでいるご家庭がどこかにあるのでしょうね。
人々が孤独な時代
誰も助けてくれない、誰も教えてくれない、周囲に助け合うようなシステムもない。
今はそんな時代です。
インターネットを使うことが出来て、尚且つそれで調べることが可能な人というのは恐らくそんなに多くはない。
相談する場所も、援助を受けることのできる制度や団体などがあると知ることが出来る人自体が少ないのですね。
そんな状態で子供や要介護対象の家族を抱えている人は、とても孤独で追い詰められた状態になっていておかしくありません。
どうしたらそういうご家庭が、助けを受けられるのでしょうか?
近所やそういう人を見掛けるだけの、あまり関係のない私たちがそんな人たちを知った時、何が出来るのでしょうか?
虐待を受けているかもしれない人を見つけたら?
暴力や虐待を受けていると思しき人・子供を見つけたら、私たちはどうすべきか。
赤の他人が出来ることって、少ないですよね。
自分まで火の粉を被らないようにと、関わらないようにする人も少なくないでしょう。
親や保護者の立場の人が隠したり、逆恨みされるかも知れないと、懸念もありますよね。
けれど、事件のニュースを見る度に胸を痛めている方、自分の子供の頃の体験を思い出して辛い思いをされている方も結構いる筈。
もし勘違いだったら困るけど、なんとかしてやれないのか…
そんな時は「189(いちはやく)」を利用して欲しいと、フィフィさんが呼び掛けられています。
「189」は、2015年から設置されている全国共通ダイヤルで、虐待が疑われる状況を見掛けた時に児童相談所に通告や相談ができるものです。
フィフィさんは「なかったらなかったで良いじゃないですか。通報する勇気を持ってほしい」と仰っています。
でも、自分が189に掛けたことが虐待をする側にバレたら…と心配な方もいらっしゃるでしょう。
厚生労働省の専用ページによると、この通告・相談は匿名でも可能だということです。
それでも勇気が要ることだとは思いますが、少しの行動が誰かの命を助けることに繋がるかも知れないのです。
どうか、「189」ダイヤルが少しでも広まって、ひとりでも救われるお子さんが増えるようにと願っています。
児童相談所や関連機関の、適切な人員配備も必要
一報、事件の報道を受けて「児童相談所は何をやっているんだ!」とお怒りの方もいらっしゃる様子。
ですが、その児童相談所の勤務状況の実態をご存知ですか?
キャリア積んだ非正規雇用の方は他の正規雇用してもらえるところなどに転職してしまう。業務内容だって、決して楽じゃない。
— TUH(とうふ) (@SSTUH) February 6, 2019
そういう現状を報道しないで、一方的に児相の責任とか、何度も青山の児相建設の取材の電話とか、本当マスコミは子供のこと考えてないと思う。
こういった現状を訴えるツイートが、沢山目に入ってきました。
児相の職員さんたちは、非正規雇用で待遇もよくない中、場合によっては100人以上の児童の案件を抱えているとのこと。
完全にオーバーワークですし、一人一人をきちんと見ていられる状況とは、とても言えませんよね。
早急に待遇の改善や増員を行わなければ、虐待死だけでない事故が起こってしまいそうです…
各種団体や機関の方、「189」同様いち早い状況の改善をどうぞよろしくお願いします。
それは介護の現場にも、同じように言えること
介護関係のお仕事も、同じことが言えますよね。
介護って本当に大変です。
大切な家族が相手でも、耐えられないことや嫌なことが沢山あります。
それを他人が見てくれるというのは、本当にすごいことですよ。
それなのに、そんなにすごいことをしてくれる人たちが身を粉にして働いても、月20万にもならないのです。おかしくないですか?
そりゃあ辛くて辞めていく人が多いのも分かるし、やりたいと思う人が少なくてもし方がないですよね。
私も絶対やりたくないです。
これからもっとお年寄りが増えていくので、介護現場で働く人手も今より沢山必要になる筈です。
その為に、雇用や労働環境の改善は急務なのではないでしょうか。